ダンジョンもの?テストショット

いまいちどんな方向で書き進めるか思いつかないので、とりあえず書いてみる。
これをそのまま使うかも知れないし、使わないかも。


 目の前のスク水幼女が、指先をすうっと、口元からベスたちの方に動かすと。
 ぎゅぎゅいっ!
 突然、首が絞められた。
「ぐあっ!?」
 頸動脈や気管が、完全に絞まる一歩手前。意識を失わないけど、とてつもない息苦しさを感じる程度に、強く締められる。
 一体どうやって? 一体何が?
 ベスが、なんとか自分の首元をみると、そこには、白い首輪があった。
 えらく艶がかった、真っ白な首輪である。
「にゅふふ、『呪いの輪(カースリング)』の魔法を使うのも、何年ぶりかのう。あんまり久しぶりで、上手に出来るか不安じゃったが。さすがワシ、黒曜石の竜の眷属」
 にやにやと笑う、スク水少女。少女が、えっへんと薄い胸を張ると、首輪がゆるんだのか、息苦しさは消えた。
 しかし、安心してる場合じゃない。
 ベスは自分の耳を疑った。黒曜石の、竜……!? 目の前の、このちびっ子が、ドラゴンだと?
「けほっ……な、なんだとちびっ子……てめーが、ドラゴンだって、いうのか……?」
 少しむせながら、ドワーフのポジェが訊ねる。その首にも、やはり首輪が。色は赤色。
「その通りじゃあ。齢……ええと、いくつじゃったかのう……200までは数えておったんじゃが、あとは面倒くさくて忘れたのう……黒曜石の竜、ケルオルクォとは、ワシのことじゃあ」
 スク水少女は、また、えっへんと胸を張る。
 その仕草は、どう見ても、プールで水に顔をつけることが出来ましたと自慢する、少女にしか見えない。
「ド、ドラゴンの呪いの魔法……終わりです、ボクたち終わりです! あんなこととかこんなこととかされて、最後は、ああっ、そんなことまでぇっ!」
 涙声で悲鳴を上げる、スー。ぺたんと床に座り込んで、ぴいぴい泣いている彼女の首には、青色の首輪。
「にゅふふ。そうじゃあ。あ〜んなことやそ〜んなことをしたりするのじゃあ♪」
 幼女は調子に乗って、泣き虫魔法使いを怯えさせる。
 遠目には、臆病なおねえちゃんにおぼえたての怖い話を聞かせて喜んでいるちびっ子にしか見えない。
「このフロアには、ドラゴンはいないはずですわねえ……迷子なのでしたら、ちゃんと地上まで送って差し上げますけれども。うふふ」
 呑気な声で、ベスの『お姉さま』ルックが声をかける。
 いつも通りの呑気さなので、もしかしたら、と思ってその首をみると。
 残念ながら、こちらにも、首輪が。紫色が鮮やかだ。
「最近引っ越してきたのじゃあ。リハウスじゃ♪」
 ニコニコと、スク水ドラゴン幼女。
 あっけらかんと答えたが、誰も笑わなかった。
「まあ。お引っ越ししたばかりでしたのね。それは知りませんでしたわ。うふふ」
 台詞だけみると、すごい嫌味のように感じるが。
「お蕎麦をご用意したら、良いのかしらね、ベス?」
 軽く首をかしげながらそうつぶやくルックは、残念なことに、心の底から蕎麦の心配をしていた。