ダンジョンもの? 冒頭あらすじ。

こんなスタートの仕方をしてみようと思う。いわゆるパーティ結成編、みたいなノリ。
ポジェとスーのキャラはもうちょっと考えてから。


ドラゴンの巣くう山の麓にある、湯煙に満ちた『ダンジョン街』ユバリ。
そこに、騎士団の任務を帯びてやってきた、騎士見習いベアトリス。
任務とはダンジョン内にある薬効を持つキノコを採ってくること。
これは、騎士見習を成長させる目的もある。

真新しい軽装鎧。明らかに大きすぎて引きずっている両手剣。

緊張のあまり何も食べずに一日歩き続けてユバリまでやってきたベアトリスは、空腹をこらえきれずに、焼けた肉の香りをぷんぷん漂わせる『冒険者の店』子うさぎ亭の扉を開く。
と。
焼けた肉の香りは、焦げた肉の匂いに変わった。
「どりゃあああああああっ、どいてろーっ」
「はうあーっ、お洋服が汚れますからー!」
鞘をかぶせた斧を振り回す幼女と、その腰にしがみついてとどめようとしている学生?
吹っ飛ばされる、巨漢たち。たたき壊されていく机や椅子。
そのそばでは、おっぱいの目立つ神官がニコニコしていた。
「こ、これは、いったい……?」
「ええ、喧嘩になっちゃいまして。うふふ」
「……これじゃ食事は望めませんね」
「もうしばらくしたら、終わりますよ。うふふ」
「……別の店にします」
と、回れ右をした、そのとき。
引きずっていた剣が引っかかる。
「あ」
すっ転び、柱に頭をぶつけるベアトリス。
そして暗転。


ぺろ。
ぴちゃ。
れろ。
額に何か生暖かくも心地よい感触。
時折鼻から入ってくる、湿った甘い香り。


気が付くと、寝台の上だった。
「あら、気が付きました? うふふ」
どうやらさっきの店の、客室らしい。さっきのおっぱい神官……ルクレイシアが手当をしていてくれたらしい。
その手当の形が。
おでこのコブを舐める、というものでなければ、よかったのだが。
「あ、あのっ、なんで、舐めてるんですっ!?」
「わたくし、治癒魔法をこうしないと使えませんの。申し訳ありません。うふふ」
そんなことは聞いたことない。聞いたことないが、そうだというなら、そうなのだろうか。
「ええと……ありがとうございます」
「いいえ、お礼には及びませんわ。うふふ」
「とは言いましても、何かお礼を……」
とベアトリスが言うと、ルクレイシアはそれを待っていたらしく。
「では、お礼の品はいりませんから、お仕事を依頼してくださいませんかしら、うふふ」
「依頼……?」
「ええ。私たち、冒険者なのですけれども、先ほどの仲間の大暴れで壊したモノの弁償をしなければいけませんの。うふふ」
「はあ……?」
それは自業自得じゃないか、と思いつつも、相づちを打つだけのベアトリス。
「騎士団の見習いの方とお見受けいたしましたわ。ということは、ダンジョンに入る為に来たのですわよね? うふふ」
その通りなので、頷くベアトリス。
「必要な人材を雇うことも、許されている。そうではありませんかしら? うふふ」
やっぱりその通りなので、頷く。
「では、私たちを雇ってくださいませんかしら? うふふ」
「は、はあ……」
よくわからずに、頷くベアトリス。
それを了承と取ったのか、寝台の上のベアトリスに、ルクレイシアが飛びつく。
「ありがとうございます。うふふ」
「あ、あの……?」
「では、治療の続きをいたしますわね。うふふ」
ぺろぺろ、ぴちゃぴちゃ。
おでこを舐める舌やら、自分の胸に押し当てられる、人のモノとも思えぬ柔らかい感触に混乱するベアトリス。