『終戦』

 ぱぁんっ!


 そんな音をさせて。
 あたしは思いっきりひっぱたかれた。
 数年前の、元カレに。
 いや。
 そりゃもう婚y


 ぱぁんっ!


 そんな感傷に浸る間もなく、二発目。
 信じられない。
 遠慮介錯なし、全力の往復ビンタ。
 漫画のように自分の体がくるくるくると、回るのが分かる。


「四年前の、真珠の指輪のこと、忘れたとはいわせねえぞ」


 忘れたわよ、そんなもん。
 言い返そうとしたけど、唇とか舌とか、切っちゃったらしい。鉄の味がする。
 あー、ダメ。むちゃくちゃ痛い。
 涙ぐんだ瞳で、睨んでやる。


「でも。ちゃんとオレのいうこと聞くなら、赦してやるよ」


 にっこりと、そう言う。
 でも、分かってるんだ。
 その笑顔の裏で、三発目のビンタを考えている。


 なのに。それなのに。
 ううん、だからなのか。


 あたしは、彼の手を取った。
 ああ。


1945/8/15















オチ。
「お前がそんなアニメオタクだなんて、思ってもみなかったよ!?」
「いーじゃないのよっ! あんただってあたしの漫画、みてる癖にっ!」
「つーか、お隣さんの顔みろよっ! なんかかわいそーなもの見る目だぞ、アレはっ!?」
「言わないでそれはっ! 最近いろいろ気まずくて、顔も見れないんだからぁッ!」


http://www.cre.ne.jp/writing/event/2004/end_of_war.html
TRPG.NET #もの書き 2004年8月お題『終戦』


まあ、そーいう話です。
日本で8月に『終戦』といったら、まあ、その終戦の話で。
特に思想的な意味もなく、単にネタとして使ってみたのですが、要するに、オチが書きたかっただけ。