バカは不治の病──『くじ引き勇者さま』2札目


 続いて第2巻。第1巻は旅立つまでだったので、ここからようやく旅がはじまります。
 神の教え(=くじびき)をかたくなに信じる剣士ナバルと、くじびき(=神の教え)がだいっきらいな修道女メイベルの二人旅は、ほとんどの読者の予想通り(だとおもう)、実に凸凹したものに。
 1巻では冴え渡っていたメイベルの知識ですが、実際に旅に出てみると、机上の学問に過ぎなかった所もちらほらと。頭でっかちゆえに失敗を繰り返してしまうというのは、なかなかに面白い展開です。
 しかし、賢い主人公がそれ故に失敗を繰り返すという展開、読者によっては納得いかないかも知れないですね。椎出はニヤニヤと読んでいましたが。
 そして二人っきりになると、さすがにメイベルもお年頃。ナバルが朴念仁なだけに彼の何気ない仕草で脳内が真っ白に。いや、あえて言いましょう。脳内ピンク色です。この展開を待っていた! いやっほぅ! 挙げ句の果てには土砂降りの中二人っきりで、雨宿りですよ! お約束過ぎる! 演出過剰です作者! うひょおぅ!(そして椎出落ち着け)

 作者のいちいち設定が細かい所も秀逸です。
 魔法で剣を白熱させて攻撃力を与える人物がいるのですが、1巻で圧倒的強さを誇った彼は、なんと、神の思し召し(=くじびき)で今回敗北することになります。相手の剣をも切断してしまう白熱剣を、果たしてどうやって破るのか。この世界の神(=くじびき)は、なかなかに侮れません。
 また、いきなりドラゴンが登場するのですが……なんと年長のドラゴンは二重主語を使わないという、どうでもいいと言えばどうでもいい設定が。二重主語とは、要するに『椎出脳内がピンクである』というような文章。年長のドラゴンは『椎出脳内はピンクである』とでも言うのでしょうか。この程度で驚いていたら『指輪物語』などは読んでいられないのでしょうけどねー。

 さて、このまま3巻になだれ込むわけですが、このままではメイベルは肝心なときに顔を真っ赤にして失敗ばかりしているキャラになってしまいます。果たして名誉挽回はなるのか。それともさらにドツボにハマるのか? どちらかというとぜひドツボにはまって、ニヤニヤさせていただきたいところです。