髪を切る

 どうもおいらは、身だしなみというのに、だらしがないというか、無頓着なところがある。会社勤めを辞めてしまった今は、下手すればヒゲを剃るのも忘れるくらいである。

 そんなだから、髪も、そんなに凝ったことはない。適当に、伸びるに任せている。

 この、髪については——言い訳をするわけじゃないが——中学の時、校則で坊主刈りと決まっていたのも原因のひとつなんじゃないかと、今になってみると、思う。ちょいと色気づいた年頃に、髪のひとつもいじるようにしとかないと、後々苦労する……んじゃないかな、とか。

 まあさすがに、今中学校でそういう校則が残っているところは、そんなにないだろうけれども。

 さて、伸びるに任せるといっても、あまり伸びてくると、これはこれで、面倒くさい。面倒くさいんだけど、整えるのも、これまた面倒くさい。

 で、まあ、思い出したように、散髪に行ったりもするのだけど、これはこれで面倒くさい。面倒面倒って、どんだけ無精なのか、おいら。

 髪を切ってもらうだけで、何が面倒くさいのかって——これは多分、以前家電屋で仕事をしていた(そしてそれを辞める原因のひとつにもなっただろう)からか——当たり障りのない、世間話をするのが、面倒くさいのだ。

 世間話が出来ないわけでもないのだけど(実際、旅行に出た時なんかは、結構しゃべる)髪を切ってもらいながらの世間話が、どうにも苦手で、結果、散髪にもあまり行かない。

 とはいえ、切らないわけにも行かないので——今日行きました。散髪。

 相場よりも安い金額で、流れ作業のように次々と髪を切っていくタイプの、チェーン店が、ちょっと遠出すればあるので、そこで切ってもらう。こういうところは、回転率が大事だから、余計な世間話もしない(こっちから話しかけりゃあ、付き合ってくれるのかも知れないけれども)。味気ないこと極まりないけれども、むしろおいらには、こういう方が合っているんじゃないかとも、思う。

 それにしても、さすがに彼岸も過ぎたこの時期に、角刈りは……ちょっとやり過ぎた。夕方、老犬の散歩に行くと、もう頭が寒くて敵わない。おかんにも親父殿にも、笑われた。

 いいさ、明日から犬の散歩は、帽子かぶっていくから。