sfさん(あるいは御大、猫の形をした情報集合知性体)こと古谷俊一氏の訃報

今しがた、ご家族の方から訃報のメールが届いた。Twitterなどからもすでに報せを受けてはいたが、工房・匠の運営者である古谷俊一氏が急死した、とのことである。
IRCで彼がいつものように語ったのに対して、いつものようにアホなリアクションをして、おそらくは画面の向こうで『椎出啓は今日も通常運転』とか思ったであろう、その少し後に、彼の身に何かが起こり、すうっとこの世からいなくなってしまった。享年38歳。おいらの二つ上である。早すぎる。
人の生き死にはわからないものである、とはいうが、あまりに突然のことに、しばし言葉を失った。人の身に起こる出来事の全てに伏線があるわけではないと、改めて知らされることになった。いや、こんな形で知らされなくて良いのに。


拙作『同人誌版親子丼』を企画した際には、シャレでつけた帯に言葉を寄せてくれた。引用しよう。
『たとえ技巧を読み解こうとも、真似はできない軽妙さ。』古谷俊一(電脳工房・匠 代表)
彼がおいらを(その文章を)評価してくれた言葉は他にも色々あるが、その要旨は、この一文に代表されるだろう。
ほんとにありがとう。毒にも薬にもならないおいらの文章を、評価してくれてありがとう。


一度だけ、お会いしたのは、香住のご自宅に伺ったときであった。時間が出来たので行きますよと言うと、駅まで迎えにきてくれた。ぼろぼろの自転車で颯爽と。いや、自転車直そうよ。
噂通りの長身で、肉の代わりに本食ってた熊です、って感じの風貌だった。ご自宅はまごう事なき猫屋敷で、実はアレルギー持ちのおいらにはちょっと居心地が悪かったが、猫が悪いわけではない。ねこー、ねこねこー。
そしてその蔵書の豊富さと幅広さはたいそうなものだった。本を愛する者なら想像できるであろう。自分の蔵書を人に紹介するときの、あの笑顔を。あの笑顔で、あれこれと語ってくれた。しばしの、楽しい一時であった。


いまでも、IRCクライアントを起動すると、普通にsfさんがjoinしてきそうな気がしてならない。
「ちょっと回線に繋がらなかったのだよなあ」
とかいって、またいろんな話をしてきそうだ。
だが、彼はやはり、もうこの世にはいないのだ。
妹さんから、mixi経由でメッセージが届いた。
>兄が急死しました。
と。