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たまには空を、見上げてみよう……『現代萌衛星図鑑』

読書

現代萌衛星図鑑

現代萌衛星図鑑


人工衛星を擬人化して一山当ててやろう(=椎出みたいなおバカから搾取しよう)という本
ではない。
内容はあくまでストイックな、人工衛星の紹介である。ただし、それが『愛娘を語る、ちょっと真面目だけど親バカなお父さん』になっちゃってるだけである。まあ、擬人化された人工衛星たちはみんなかわいいんですけどね。真面目に人工衛星と、それを支える技術者たちに敬意を表した、素晴らしい本である。
さて。この本がどんなに素晴らしいのかは、銅さんのblog『現代萌衛星図鑑』著/しきしまふげん 漫画/へかとん 監修/松浦晋也 萌えといっても『人工衛星は俺のヨメ』ではなく、『人工衛星は俺の娘』な感動のドラマ! | Drupal.cre.jpを参照するのが一番良いと思う。
だがそれだと、おいらのblogが『リンクを貼るだけの簡単なお仕事です』と、たんぽぽ置く作業並みのお手軽さになってしまうので、銅さんがあまり触れてない章について触れることにしよう。

なんて夢のような光景なんだろう

ハレー彗星まで15万キロメートル
禍々しい毒の尾を引いて飛ぶ76年ぶりの来訪者に
我が艦隊は距離をつめる

アメリカ、ソ連、ヨーロッパ、そして日本
各国が送り出した6機の探査機による艦隊が
永く人類に恐怖と混乱を振りまいてきたあのハレーを
迎え撃つのだ

なんという光景だろう
そこには西も東もない
地球ではお互いに核弾頭を
突きつけあっているというのに
(30頁 すいせい・さきがけの章より)

1985年に地球に再接近したハレー彗星を観測した2機の探査機、PLANET-2『すいせい』とMS-T5『さきがけ』の章の、イントロである。この章では、この2機の物語を、未知の敵ハレー彗星に立ち向かった6機の探査機による『海戦』として描いている。
85年つーと、ソ連では『ペレストロイカ』で知られるゴルバチョフが、ようやく書記長に就任した頃である。当然、この計画が立案されたときはまだソ連は東西対立の厳然たる一角。オリンピックでいえばモスクワ・ロサンゼルスとお互いにボイコットしあっていた、そんな時代である。
#日本でいえば、中曽根康弘レーガンと『ロン♪』『ヤス♪』とラブラブだった頃である……すまん、比喩が悪かった。
そんな時代でありながら『すいせい』『さきがけ』は東西の人工衛星(ソ連2機、アメリカとヨーロッパが1機ずつ)とともに、未知なる天体『ハレー』の正体を暴くべく飛び立った……てな物語。
ドラゴンボールでいえば、ピッコロと悟空がいっしょにラディッツに立ち向かったような感じである。絶望的な相手を前に、ライバル同士がタッグを組む(いや、探査機は6機だけどね)という展開!
これでワクワクしない男の子はいません!(女の子も可)
この章は、本書でも随一の熱い物語である。ぜひ、手にとって、手に汗握っていただきたい。

そして、今日はちょうど七夕なので、椎出はこれから、宇宙空間での無人ドッキング実験を行うための技術試験衛星ETS-VIIきく7号……1997-074E『おりひめ』と1997-074B『ひこぼし』のお話を読もうと思う。

いつか星のせかいで君に出会うための技術

広い宇宙で君を見つけること
見つめ合うこと
抱きしめること

それは複雑で回りくどくて危なっかしいけど

とてもとても大切なこと
(48頁 おりひめ・ひこぼしの章より)

本文では『ひこぼし』は『彼』と呼ばれているが、椎出は、彼女らは(菊だけど)ゆりんゆりんだと信じてる。ゆりんゆりんだと信じてる……!