貴様等はSASを愛しているか!?──SAS スペシャル・アナスタシア・サービス


なんか軍人ものが連続ですか。


第1回ノベルジャパン大賞 優秀賞受賞とのこと。てことは、デビュー作でしょうか。新人賞とかそういう賞関係にはあまり興味がないので、よく知りません。HJ文庫一周年で、新人を『自前』で出すことが出来るようになったのは、まあよいことです。
お話としては、主人公がある日『突然』一国を左右するぐらい重要な要警護者となってしまい、そこに護衛としてほとんど年の変わらない女の子たちがやってきて……って、落ち着いて考えてみれば、これはもうライトノベルの定番のような気がします。あまりに定番なので、警戒しつつ読み進めていきました。敵のアジトへの潜入と同じです。一部屋一部屋チェックしていき、敵を見つければ手榴弾で部屋ごと殲滅! ……どこの『スパイ大作戦(MZ-700用)』*1なのか。非道い読み方です、我ながら。


結論からいえば、凶悪なトラップはありませんでした。護衛に当たるアーニャ、フラン、ファの三人は(時にはやりすぎてしまうものの)節度を持って行動し、どこかのコッペパンが好きな軍曹殿のような暴走は(なるべく)控えています。もうちょっと暴れさせてもいいような気がしますが、二者のギャップを面白おかしく描くのが作者の狙いではないようなので、良しとしましょうよ。

特殊な風習と思考パターンを持った三人の少女たちが、ごくふつうの一般人である立夏、紗友の兄妹とコミュニケーションギャップをいかにして埋めていくか、という──あるいは埋まっていないかもしれませんが、ともかく異文化コミュニケーションのお話です。
(295頁5〜8行目 あとがきより)

そのギャップを埋めていく中で、どいつもこいつも嘘をついていることが明らかになっていきます。物事の争点がひっくり返るような重要なことや、自分の気持ちとか、まあ、そういうイロイロです。まあ、物事が単純ならば、そんなに苦労もしないんだろうし。


ところで、岩村屋のプリンカスタードタルトのおいしさを思い出して顔が弛む、普段は無口無表情なフランが、キャラ造形手法として予想通りでありながらもかわいいんですけど、ウチにも護衛任務に来ませんかね?

*1:http://www3.airnet.ne.jp/ashen/oldgame/spy.htm