インク代のとてもかかる単行本──棺担ぎのクロ。

棺担ぎのクロ。~懐中旅話~ (2) (まんがタイムKRコミックス)

棺担ぎのクロ。~懐中旅話~ (2) (まんがタイムKRコミックス)


『GA芸術科アートデザインクラス』で知った漫画家ですが、とかく色にこだわる作風のようです。
で、この作品では『黒』
なにせほとんどのページの枠外の余白余黒なっています。
その真っ黒なページで語られるのは、童話のような四コマ漫画。
第2巻では相棒のコウモリ『セン』の名前の由来が明らかに。つーか、足りなくなるのかよお前は!


クロやセンの過去話もなかなか秀逸なのですが、一番気に入ったのは『首斬り王女』の一編。退屈しのぎに『自分が主人公』のお話を所望するお姫様。お気に召したらば山ほどのご褒美を。お気に召さずば──お城の中の断頭台がガチャーン! 他所の国のものならば自分の知らない話を語れるだろうと、旅人を手当たり次第に捕らえさせます。
さて、今日捕らえられたクロたちは、過去に語られた『叙情的な叙事詩(リリカルなエピック)』(ちょwwwちゃんと製本されてるwwwなんという同人誌(笑))を読み返して、愕然とします。幾多の窮地と数多の求婚をくぐり抜けて、実に96回目の絶体絶命を迎えたところで、クロたちの順番です。つーか多いなオイッ!
GAでの『くろいポスカラ』や『空想をコラージュ』のように、作者は『劇中劇』が非常に巧みで、『首斬り王女』も導入からオチまで、実に巧妙に纏められています。
ところで、ニジュクとサンジュ、可愛いんで持って帰ってウチで飼ってもいいですか?