「というわけでー、巨大掲示板で住所晒されてた天山だがー、今日から復学だそうだー。まー、てきとーに挨拶だけでもしてやれー」
「先生……ひどい言いぐさですね……」
天山龍也、17歳。
自分探しの旅の行先にセリカスタンを選んだばっかりに、一国の救世主となってしまった高校生。
やっとの思いで帰国して、淡々と事務手続きだけさせられて、今日からオタク高校生に復帰、なのである。
「それより喜べ男子ー! 脈絡もなく留学生だ! 女子留学生だぞー!」
「ハ……ハジメ、マシテ……リューカ、ト……イイマス」
「うぉぉぉぉぉ!」
どちらかといえば、彼女の方が歓迎されている。
担任の女性教諭(31歳独身)をはさんで龍也の向こう側に立って、たどたどしい日本語で挨拶をしている少女、リューカ。
「セリカスタンカラ、タツヤトイッショ、ニ、キマシタ」
「!?」
「ちょっとリューカ!?」
「ウウン、チガワナイ。タツヤナシデハ、イキテイケナイ」
「!?!?!?」
騒然となる教室。そりゃ、美少女が頬を赤らめてそんなことを言ったら、誤解だろうと六階だろうと、大騒ぎになるってものだ。
だから、日本語の文法にまだ不慣れなリューカが言葉足らずに発言してしまったことは、聞いたそのままの意味で、校内を駆けめぐった。
リューカは、龍也がセリカスタンを救った顛末をかいつまんで話そうとしたのだが……
『キンリの里の民は、いや、セリカスタンの民は』龍也なしでは生きていなかっただろう、というつもりだったらしいのだが……
そんな自己紹介のせいで、龍也は同級生の味方を失ったのである。
そんな事があったあとの、休み時間。
教室は、微妙な空気が漂っていた。
早くも精神的に疲労困憊の龍也。
その隣の席で、龍也にぴったりと寄り添っているリューカ。
それを遠巻きにして眺めている、女子グループいくつか。
さらにそれを遠巻きにしている、男子多数。
リューカにいろいろ聞きたいものの、当のリューカが隠そうともしない『らぶらぶ空間』に阻まれて、女子グループも二人に近づけないのだ。男子たちに至っては、言うに及ばず。
実に微妙な空気が漂っていた。
そこに。
どごーんっ!
日本では聞き慣れない……でも、セリカスタンでは非常によく聞いた、『発動音』が響き渡った。
「マサカ……」
「お、追いかけて来ちゃったのか……!?」
顔を見合わせる、龍也とリューカ。
今の音は、間違いない、銃魔法の発動音。
セリカスタンのごくごく一部にだけ伝わっていた、銃魔法。
キンリの姫巫女に手を出すことがタブーなら、銃魔法の使い手に逆らうこともタブーとまでいわれた、その使い手の一人。
龍也とリューカは、その使い手を振り切って、日本に来たはずであったのだが……
ふりふりのフリル付きのピンクのワンピース着て、巨大なピンク色の拳銃にまたがって空飛んでる少女が、窓から顔を突っ込んで、硝煙の香りを漂わせて、セリカスタン語で叫んだ。
『あーっ、シマオオカミーっ! やーっとみつけたよー!』
まあ、なんというか。
このお話は、そーいうお話である。
魔法少女 とかれふ☆シーデ!
★ ★ ★
とりあえず、習作として思いついたままに書いていくことに。
ある程度オチが付いたら……書き直す、のか?……orz←早くも根性が尽きかけ